すでに、2週間前のことになりますが、12月15日、横浜コミュニティデザイン・ラボ主催で、「情報デザイン入門」の著者で現在北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット 特任教員の渡辺保史さんをお招きして、勉強会『多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開』が行われました。
この記事は、そのときの、勉強会の議論をまとめたものです。
この勉強会は、2010年3月13日に予定されている「ソーシャルメディアの現在」シンポジウムに向けた1回目プレセッションとして企画されました。
この勉強会関連のデータは以下のように現在でも参照可能になっています。
・勉強会案内
http://mediken.blogspot.com/2009/12/blog-post.html
・ustream
http://bit.ly/8rbjxd
(17分あたりから音声クリアになります)
・twitterハッシュタグ
#medhken
・渡辺保史(わたなべ・やすし)さんtwitterアカウント
http://twitter.com/nextdesign
・この勉強会のログ
http://portside-yokohama.jp/headlines/mediken091215.html
この記事では、とりあえず、主に、この勉強会の前半の渡辺さんがプレゼンされたことを主に紹介します。後半については、別枠で書く予定です。
渡辺さんも指摘されていた通り、twitter研究会、web学会に象徴されるように、現在では、twitterハッシュタグとustreamで研究会、シンポジウムなどを実況することが一つの標準になりつつあります。同様のことは、研究会、シンポジウムに限らず、様々なイベント、経験、活動、生活で生じています。
このように、twitterとustreamは、場、経験、イベントなどを同期的に共有可能にする新しいアーキテクチャと言うことが可能です。しかし、こうしたことは、今始まったことではないとも言えると思います。
例えば、2007年、すでに日本の若手のギークたちはこうしたことを行っていました。また、渡辺さんも2001年当時、ブロードバンドを通していくつかの地点を遠隔的につなぎ、同期的に体験を共有するインパクのイベントにファシリテータとして参加されていたとのことです。
あるいは、用いているツールは違いますが、2ちゃんねるの実況スレ、ニコニコ動画も、また、同様に、同期的に経験やイベント、コンテンツを共有するために使われてきました。こうしたことは、濱野智史さんも「アーキテクチャの生態系」で指摘されていることです。
また、web学会と同じような試みは、以前から国際学会でも行われていたことです。
こうしたことを見るなら、twitter研究会やweb学会のようなことは、以前から、まさに野火のように、様々な場所でローカルに行われていたことは明らかでしょう。そして、twitter研究会やweb学会は、そうしたローカルな活動が、つながって大きなものなったことを可視的にした象徴的なイベントだったと位置づけることが可能だと思います。
いずれにせよ、個々のローカルな活動やコミュニティで、それぞれ独立に用いられていたときと比較して、ソーシャルメディアは、新しい段階を迎えていることは明らかだと思います。こうした「ソーシャルメディアの現在」は、多くの人々の観点、例えば、渡辺さんの「情報デザイン」や私が関与して来た「状況論」、「状況的学習論」の観点に、これまで行ってきたことの捉え直しを迫っていると思います。
12月15日の「ソーシャルメディアの現在」の勉強会は、こうした背景を受けて行われました。
シンポジウムをtwitterハッシュタグとustreamで実況するweb学会などの試みに関連して、渡辺さんが指摘されていたことは、以下の3点だと思います。
1. 情報デザインという観点で見るなら、twitterやustreamといったツールは、まだまだ荒削りであり、洗練する余地がある。
2. こうした場をアレンジするコーディネータ、ファシリテータ、あるいは、情報デザイナーといった人々の役割が大きい。
3. すでにデフォルトであるtwitterやustreamによるイベントなどの実況のスピード感が大切だが、もう一方で、拙速にもならず、議論、作る、循環させることも必要だ。
こうした渡辺さんのご指摘は、webやモバイルなどのソーシャルメディアのデザインだけではなく、空間のデザイン、活動のアレンジ、テーマ、コンテンツの共有のためのリソースなどをどのようにアレンジするかといったことが「情報デザイン」の課題になるということを含んでいると思います。
こうしたことは、twitterとその他のサイトや実空間を統合的にどのようにアレンジすべきか、時間的経験という点では幅がある様々なサイトをどのように繋げて行くか、同期的経験とより長期的な活動や人々のつながりをどうデザインして行くかという形で言いかえることも可能でしょう。
一方で、こうした「情報デザイン」のヒントは、すでに、様々なtwitterをはじめとするソーシャルメディアの使われ方の中にすでに存在しているかも知れないと考えることもできます。
例えば、実は、twitterにしても、単体として、機能しているわけではなく、twitter以外の様々なネットやリアルのサイトと繋がる中で、機能しているのであり、そこにtwitterの「情報デザイン」の秘密があるようにも思えます。
twitterは、確かに、同期性を可能にするアーキテクチャですが、仮に、twitterだけ参照可能なとき、そこで何が語られているか理解不可能だと思います。実際、私は、twitterに馴染みのない人から、何度も、twitterのどこが面白いのかわからないと言われたことがあります。
逆に、twitterの語りが理解可能であったり、その中で発言可能であるのは、twitter以外の多層的な文脈やリソースがあるからだと思います。twitter以外の多層的な文脈とは、例えば、発言している人の日常生活を知っているとか、活動を共有しているとか、関心あるコンテンツを共有しているといったことです。あるいは、twitter内でのRTとか、引用されているURLの記事や著作なども、その多層的な文脈の一部を形成しています。そして、twitterの発言の履歴も、文脈になります。
このようなことを考えると、アーキテクチャとしてのtwitterは、そのシンプルな作りの中に、タイムラインを提供すると同時に、twitter以外の様々なリアルやネットにおける活動、人々、コンテンツへの一筋の糸、つまりスレッドを作り出しやすい仕組みを持っていると考えることができます。あるいは、twitterとtwitter以外の様々なリアルやネットへのスレッドをより可視的するという再デザインをめざすことも可能だと思います。
そして、こうしたことは、twitterまわりのデザインだけではなく、ソーシャルメディア全体の設計、デザインの課題でもあり、さらに、ソーシャルメディアに限定されない場や時間のデザイン、アレンジの課題だと思います。
渡辺さんが指摘されていた通り、ソーシャルメディアが大きく展開しつつある現在、「情報デザイン」を捉え直すいいチャンスであると思います。同様のことは、「状況論」、「状況的学習論」における実践共同体や学習環境のデザイン、参加の仕組みを作るといったことについても言えると思います。状況論の現代的な捉え直しについては、また、近日中に書きたいと思います。
東京都市大学環境情報学部 上野直樹研究室ブログ
Tokyo City University, Faculty of Environmental and Information Studies, Naoki Ueno lab blog
2009年12月29日火曜日
2009年12月27日日曜日
twitter bot講習会 12月28日
明日、12月28日(月)13:00より東京都市大学環境情報学部3号館グループワークルームで、2回目のtwitter bot講習会を行います。1回目に出ていなても、参加可能な内容になっています。
前回クリスマス前、12月21日に行われたtwitter bot講習会では、学生対象に、話しかければ応答してくれるインターラクティブなbotの作り方のソースをカスタマイズして、自分なりのbotを作るというようなことを行いました。その後、クリスマスあたりにかけて、皆さん楽しんでいただけたでしょうか。
botを作るための環境構築などに少し手間取りましたが、botのソースの解説はとてもわかりやすかったです。講師の小林さん、アシスタントの谷杉さん、馬場さん、ご苦労様でした。
明日、12月28日、2回目の講習会では、横浜コミュニティデザイン・ラボの皆様方とxmlで作られたサイトから、特定のキーワードに応じた記事を拾って来て、自動的にtwitterのTLに配信してくれるbotを作るというようなことも行いたいと思います。こうしたbotで、例えば、地域SNSのハマっち!の公開記事をタイトル、ハンドルネーム、記事の一部をtwitterに自動配信してくれるbotを作ることができます。
こうしたことは、すでにtwitterfeedというサービスを用いて@hamatch_kunでもやっていますが、botを自分で作れるとより柔軟な運用が可能になるでしょう。例えば、特定のキーワード、ハンドルネームなどでフィルタリングして配信ということも可能になります。また、twitterfeedをさらに多様にしたようなサービスを考えることもできるかも知れません。
より戦略的には、地域SNSをよりオープンにするツールしてtwitter botを位置づけることができると思います。botに限らず地域SNSとtwitterをつなぐためのシステムを考え、構築するといったことは意義があると思います。
このようにtwitter botを作ることで、PHPの学習にもつながります。自分でPHPでwebプログラミングをしないまでも、ソースをカスタマイズすることで、自分用の実用的なツールを作れますし、おおまかな仕組みもわかります。あるいは、これをきっかけに、自分でPHPを書けるようになる人も出て来ると思います。
明日、28日は、また、twitter botを使って実用的に何ができるか、作れるかということのブレーンストーミングも行います。横浜コミュニティデザイン・ラボの皆様も来て頂けるので、いろいろなアイディアがひろがりそうです。
関心ある方は、ぜひご参加ください。
このtwitter bot講習会は、3月13日に予定されているシンポジウム「ソーシャルメディアの現在」に向けた一連の研究会の第二回目として企画されています。
第一回目の企画は、12月15日に横浜メディア研究会主催で行われた「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開」勉強会でした。
http://mediken.blogspot.com/2009/12/blog-post.html
このときは、「情報デザイン入門」の渡辺保史さんを招いて、「ソーシャルメディアの現在」における情報デザインのあり方や「学習共同体」「実践共同体」について議論されました。この内容についてはできるだけ早くブログにまとめる予定です。
前回クリスマス前、12月21日に行われたtwitter bot講習会では、学生対象に、話しかければ応答してくれるインターラクティブなbotの作り方のソースをカスタマイズして、自分なりのbotを作るというようなことを行いました。その後、クリスマスあたりにかけて、皆さん楽しんでいただけたでしょうか。
botを作るための環境構築などに少し手間取りましたが、botのソースの解説はとてもわかりやすかったです。講師の小林さん、アシスタントの谷杉さん、馬場さん、ご苦労様でした。
明日、12月28日、2回目の講習会では、横浜コミュニティデザイン・ラボの皆様方とxmlで作られたサイトから、特定のキーワードに応じた記事を拾って来て、自動的にtwitterのTLに配信してくれるbotを作るというようなことも行いたいと思います。こうしたbotで、例えば、地域SNSのハマっち!の公開記事をタイトル、ハンドルネーム、記事の一部をtwitterに自動配信してくれるbotを作ることができます。
こうしたことは、すでにtwitterfeedというサービスを用いて@hamatch_kunでもやっていますが、botを自分で作れるとより柔軟な運用が可能になるでしょう。例えば、特定のキーワード、ハンドルネームなどでフィルタリングして配信ということも可能になります。また、twitterfeedをさらに多様にしたようなサービスを考えることもできるかも知れません。
より戦略的には、地域SNSをよりオープンにするツールしてtwitter botを位置づけることができると思います。botに限らず地域SNSとtwitterをつなぐためのシステムを考え、構築するといったことは意義があると思います。
このようにtwitter botを作ることで、PHPの学習にもつながります。自分でPHPでwebプログラミングをしないまでも、ソースをカスタマイズすることで、自分用の実用的なツールを作れますし、おおまかな仕組みもわかります。あるいは、これをきっかけに、自分でPHPを書けるようになる人も出て来ると思います。
明日、28日は、また、twitter botを使って実用的に何ができるか、作れるかということのブレーンストーミングも行います。横浜コミュニティデザイン・ラボの皆様も来て頂けるので、いろいろなアイディアがひろがりそうです。
関心ある方は、ぜひご参加ください。
このtwitter bot講習会は、3月13日に予定されているシンポジウム「ソーシャルメディアの現在」に向けた一連の研究会の第二回目として企画されています。
第一回目の企画は、12月15日に横浜メディア研究会主催で行われた「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開」勉強会でした。
http://mediken.blogspot.com/2009/12/blog-post.html
このときは、「情報デザイン入門」の渡辺保史さんを招いて、「ソーシャルメディアの現在」における情報デザインのあり方や「学習共同体」「実践共同体」について議論されました。この内容についてはできるだけ早くブログにまとめる予定です。
2009年12月13日日曜日
Symposium: Socialmedia and hybrid social spaces in wildfire activities
The symposium concerning modern socialmedia will be held Martch 13th, 2010. The symposium is organized by the project regarding communities and ICT of Tokyo City University as shown in the next section, collaborating with Yokohama Community Design Lab.
Symposium organizer
The project concerning social media and community building organizes the symposium. This project is titled ‘the design of communication platforms in Newtown utilizing ICT: Gathering local information, and promoting and supporting local activities via web2.0 technologies’. It is conducted by the Faculty of Environmental and Information Studies of Tokyo City University. The project is funded by Modern Good Practice (GP) Program of the Japanese Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT ).
The details of the project are shown in the following site.
http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/english-site
The background and the purpose of the symposium
Modern days can be regarded as the period when wildfire activities (Engestrom) are expanding more and more. The term wildfire activity refers to the phenomenon that distributed, local activities, communities are shaped everywhere simultaneously and intertwine each other in various ways.
In wildfire activities, on the contrary to the topdown bureaucratic organization, distributed activities and communities are locally shaped and mutually interconnected in complex ways such as rhizome. The activities of red cross, skate boarding, graffiti and community building by local people themselves are the prototypical examples of wildfire activities.
Socialmedia in web and mobile is accelerating expanding of wildfire activities and of complex interconnections among activities, communities and people. Socialmedia shapes hybrid social space combined with wildfire activities in various places such as streets, local areas, and individual rooms.
The examples of shaping hybrid social space can be shown in the activities of community building by local people, in the cultural consumption and production in communities of subculture such as Otaku and Geek. These are, rather, the limiting cases of shaping hybrid social space. However, it seems that we can see the futures of hybride social spaces and of wildfire activities.
Thus, the purposes of symposium are, first of all, to make visible hybrid social spaces in various modern wildfire activities. Second, it is to clarify how the future design of hybrid social spaces are, base on the field research on concrete hybrid social spaces and on the case analysis of practices of development of socialmedia.
The symposium are composed of five parts shown in the following.
Part 1
Socialmedia and wildfire activities in USA
Part 2
Socialmedia and wildfire activities in local communities
Part 3
Hybrid social space as the place of production and consumption in subcultural activities
Part 4
Hybrid social space and wildfire activities as a design of learning environment
Poster Session and lightning talk
In the poster session, the the result of the project concerning social media in local communities will be presented. The posters web and mobile systems developed by students of Tokyo City University and the students’ practices of community building that utilize the web and mobile systems. The lightning talk session will be held as well.
Symposium organizer
The project concerning social media and community building organizes the symposium. This project is titled ‘the design of communication platforms in Newtown utilizing ICT: Gathering local information, and promoting and supporting local activities via web2.0 technologies’. It is conducted by the Faculty of Environmental and Information Studies of Tokyo City University. The project is funded by Modern Good Practice (GP) Program of the Japanese Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT ).
The details of the project are shown in the following site.
http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/english-site
The background and the purpose of the symposium
Modern days can be regarded as the period when wildfire activities (Engestrom) are expanding more and more. The term wildfire activity refers to the phenomenon that distributed, local activities, communities are shaped everywhere simultaneously and intertwine each other in various ways.
In wildfire activities, on the contrary to the topdown bureaucratic organization, distributed activities and communities are locally shaped and mutually interconnected in complex ways such as rhizome. The activities of red cross, skate boarding, graffiti and community building by local people themselves are the prototypical examples of wildfire activities.
Socialmedia in web and mobile is accelerating expanding of wildfire activities and of complex interconnections among activities, communities and people. Socialmedia shapes hybrid social space combined with wildfire activities in various places such as streets, local areas, and individual rooms.
The examples of shaping hybrid social space can be shown in the activities of community building by local people, in the cultural consumption and production in communities of subculture such as Otaku and Geek. These are, rather, the limiting cases of shaping hybrid social space. However, it seems that we can see the futures of hybride social spaces and of wildfire activities.
Thus, the purposes of symposium are, first of all, to make visible hybrid social spaces in various modern wildfire activities. Second, it is to clarify how the future design of hybrid social spaces are, base on the field research on concrete hybrid social spaces and on the case analysis of practices of development of socialmedia.
The symposium are composed of five parts shown in the following.
Part 1
Socialmedia and wildfire activities in USA
Part 2
Socialmedia and wildfire activities in local communities
Part 3
Hybrid social space as the place of production and consumption in subcultural activities
Part 4
Hybrid social space and wildfire activities as a design of learning environment
Poster Session and lightning talk
In the poster session, the the result of the project concerning social media in local communities will be presented. The posters web and mobile systems developed by students of Tokyo City University and the students’ practices of community building that utilize the web and mobile systems. The lightning talk session will be held as well.
ISCAR Asia2010(第2回大会)・DEE特別大会(共催)のご案内
来年早々、1月4日に行われるISCAR, Asia第2回大会の案内です。今回の大会テーマは「リゾーム的社会における新しい生と学習のネットワークの可視化とデザイン」です。
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ISCAR, Asia第2回大会は、このたびDEE(認知科学会「教育環境のデザイン研究分科会」)との共催となりました。参加費についてはISCAR会員、DEE会員は無料です。下記の要領でISCAR Asia2010(第2回大会)・DEE特別大会(共催)を開催しますので、ふるってご参加ください。このお知らせは転送、転載、自由です。
ISCAR Asia代表:茂呂雄二(筑波大学)・事務局:朴東燮(釜山大学校)
DEE主査 有元典文(横浜国立大学)・事務局 岡部大介(東京都市大学)
*ISCARは、International Society for Cultural and Activity Researchの略称です。ISCAR本体の大会は、2011年9月にローマで予定されています。
http://www.iscar.org/
*DEEは日本認知科学会SIG 教育環境のデザイン分科会です。こちらの方にもぜひ参加をお願いします。
http://sigdee.net/
大会テーマ:リゾーム的社会における新しい生と学習のネットワークの可視化とデザイン
日時:2010年1月4日
場所:筑波大学学校教育局(〒112-0012 東京都文京区大塚3-29-1、地下鉄丸ノ内線 茗荷谷駅徒歩3分)
http://www.tsukuba.ac.jp/access/otsuka_access.html
参加費:ISCAR、DEE会員は無料です。そのほかの方からは当日500円を申し受けます。
申込:茂呂までメイルでお願いします。会場狭小のため150人で打ち切りとさせていただきます。
問い合せ:茂呂
ymoro@human.tsukuba.ac.jp
大会の趣意
80年代以降、活動論や状況論が世界的に拡がり始めてから、すでに、20年以上が経過している。活動論、状況論研究は、認知や学習といったことを、個人的な知識・技能の獲得や発達、個人内で完結したアイデンティティの形成ということを超えて、メディア、社会組織、コミュニティといったことを含めて統一的に捉える観点を提供したしかし、80年代以降、私たちを取り巻く時代状況は大きく変化している。一つの大きな時代的変化は、web、モバイルを中心にした新しいソーシャルメディアの開発や使用のひろがりであり、もう一つは、これに関連しているが、活動、実践の多様化および流動化である。
こうした現代の状況は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。そうしたつながりは、植物の地下茎のよう複雑に、かつ、多様に絡み合ったリゾームのような形状を取っている。こうした野火的な活動の中で、人々は、特定のコミュニティの中でだけで生き、活動を行うだけはなく、様々な場所、コミュニティの間を移動しながら、新たな活動を生み出している。こうした時代状況によって、改めて、活動理論における「移動論」や、状況的学習論やテクノサイエンス研究に由来する境界横断論、多様なコミュニティを移動する軌跡の研究などの議論、研究が着目される。
思い起こすなら、ヴィゴツキー、バフチン、ベンヤミンが1920年代に遭遇したのは、映画、演劇、小説等の新しいメディア(あるいは従来メディアの転形)の出現が、人々の生活の形式を劇的に変えるという危機的な事態だった。こうした状況にこたえるものが、彼らの仕事であったと考えることもできる。私たちも、いま、そのような、いやそれ以上の変化を、新しいメディア使用に遭遇しつつ経験している。こうした現代社会における野火的な活動やコミュニティの拡がりは、私たちに多くの可能性を示すと同時に多くの社会的問題をもたらし、活動論、社会組織論、学習論、メディア論に解明、解決すべき研究的、実践的課題をつきつけている。例えば、リゾーム社会の源泉である新しいメディアを自分の道具にしながら、かつてなかったような新しい他者の出会い方とつながり方が必要となる。その出会いとつながりは、様々なローカルな場所で、共同的な新しい学習を生み出しつつある。
今回のISCARは、この新しい生と学習のスタイルをいかに分節化し可視化すればよいのか、を提案しあう。そして、さらに踏み込んで、人々の行なう日常的なデザイン実践に加担して、このリゾーム化の事態をいかに先鋭化できるのかを議論する。(文責 上野・茂呂)
プログラム
午前1 9:00から10:30
セッション1 教師の学びと子どもの学び G501室
企画発表 宮崎清孝(早稲田大学)
発表 有元典文(横浜国立大学)
高屋景一(國學院大學)
セッション2 ・医療現場における新しい学習・発達・ネットワーク G502室
企画発表 山口悦子(大阪市立大学医学部附属病院)
発表 原田悦子(法政大学)
コメント 南部美砂子(はこだて未来大学)
午前2 10:45から12:15
セッション3 新しいつながりとしてのサブカルチャー G502室
企画発表 岡部大介(東京都市大学)
石田喜美(財団法人東京都歴史文化財団
東京文化発信プロジェクト室)
土橋臣吾(法政大学)
コメント:柳町智治(北海道大学)
セッション4 インターローカリティー:地域社会をつなぐ G501室
発表 矢守克也(京都大学)
中村雅子(東京都市大)
杉浦裕樹(横浜コミュニティ・デザインラボ)
コメント:加藤文俊(慶應義塾大学環境情報学部)
ラウンドテーブル 韓国社会と日本社会のリゾーム化:今後の共同研究
へむけて G503室
参加者:朴東燮 朴智淵 李秉俊 金慧娜 金大現 金惠淑 韓大東
(釜山大学校)ジェームズ・ワーチ(ワシントン大)茂呂雄二
(筑波大)當眞千賀子(九州大学)タイラー・ワーチ(早稲田
大学)野村侑加(筑波大)徳舛克幸(筑波大)岩木穣(筑波
大)太田礼穂(筑波大)キム・ウンミ(筑波大)
昼食休憩
午後1 13:15から14:45
講演G 501室
James V. Wertsch (Marshall S. Snow Professor in Arts and Sciences. Director, McDonnell International Scholars Academy. Washington University in St. Louis)
Mediation as a Core Construct in Sociocultural Analysis
通訳:ソーヤーりえこ(東京都市大学 環境情報学部)
午後2 15:00から17:30
シンポジウム 流動的なメディア社会のバウンダリ―クロッシング G501室
企画話題提供 上野直樹(東京都市大学)
司会 伊藤 崇(北海道大学)
話題提供 香川秀太(筑波大)
茂呂雄二(筑波大)
杉万俊夫(京都大学)
コメント 森岡正芳(神戸大学)
永田素彦(京都大学)
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ISCAR, Asia第2回大会は、このたびDEE(認知科学会「教育環境のデザイン研究分科会」)との共催となりました。参加費についてはISCAR会員、DEE会員は無料です。下記の要領でISCAR Asia2010(第2回大会)・DEE特別大会(共催)を開催しますので、ふるってご参加ください。このお知らせは転送、転載、自由です。
ISCAR Asia代表:茂呂雄二(筑波大学)・事務局:朴東燮(釜山大学校)
DEE主査 有元典文(横浜国立大学)・事務局 岡部大介(東京都市大学)
*ISCARは、International Society for Cultural and Activity Researchの略称です。ISCAR本体の大会は、2011年9月にローマで予定されています。
http://www.iscar.org/
*DEEは日本認知科学会SIG 教育環境のデザイン分科会です。こちらの方にもぜひ参加をお願いします。
http://sigdee.net/
大会テーマ:リゾーム的社会における新しい生と学習のネットワークの可視化とデザイン
日時:2010年1月4日
場所:筑波大学学校教育局(〒112-0012 東京都文京区大塚3-29-1、地下鉄丸ノ内線 茗荷谷駅徒歩3分)
http://www.tsukuba.ac.jp/access/otsuka_access.html
参加費:ISCAR、DEE会員は無料です。そのほかの方からは当日500円を申し受けます。
申込:茂呂までメイルでお願いします。会場狭小のため150人で打ち切りとさせていただきます。
問い合せ:茂呂
ymoro@human.tsukuba.ac.jp
大会の趣意
80年代以降、活動論や状況論が世界的に拡がり始めてから、すでに、20年以上が経過している。活動論、状況論研究は、認知や学習といったことを、個人的な知識・技能の獲得や発達、個人内で完結したアイデンティティの形成ということを超えて、メディア、社会組織、コミュニティといったことを含めて統一的に捉える観点を提供したしかし、80年代以降、私たちを取り巻く時代状況は大きく変化している。一つの大きな時代的変化は、web、モバイルを中心にした新しいソーシャルメディアの開発や使用のひろがりであり、もう一つは、これに関連しているが、活動、実践の多様化および流動化である。
こうした現代の状況は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。そうしたつながりは、植物の地下茎のよう複雑に、かつ、多様に絡み合ったリゾームのような形状を取っている。こうした野火的な活動の中で、人々は、特定のコミュニティの中でだけで生き、活動を行うだけはなく、様々な場所、コミュニティの間を移動しながら、新たな活動を生み出している。こうした時代状況によって、改めて、活動理論における「移動論」や、状況的学習論やテクノサイエンス研究に由来する境界横断論、多様なコミュニティを移動する軌跡の研究などの議論、研究が着目される。
思い起こすなら、ヴィゴツキー、バフチン、ベンヤミンが1920年代に遭遇したのは、映画、演劇、小説等の新しいメディア(あるいは従来メディアの転形)の出現が、人々の生活の形式を劇的に変えるという危機的な事態だった。こうした状況にこたえるものが、彼らの仕事であったと考えることもできる。私たちも、いま、そのような、いやそれ以上の変化を、新しいメディア使用に遭遇しつつ経験している。こうした現代社会における野火的な活動やコミュニティの拡がりは、私たちに多くの可能性を示すと同時に多くの社会的問題をもたらし、活動論、社会組織論、学習論、メディア論に解明、解決すべき研究的、実践的課題をつきつけている。例えば、リゾーム社会の源泉である新しいメディアを自分の道具にしながら、かつてなかったような新しい他者の出会い方とつながり方が必要となる。その出会いとつながりは、様々なローカルな場所で、共同的な新しい学習を生み出しつつある。
今回のISCARは、この新しい生と学習のスタイルをいかに分節化し可視化すればよいのか、を提案しあう。そして、さらに踏み込んで、人々の行なう日常的なデザイン実践に加担して、このリゾーム化の事態をいかに先鋭化できるのかを議論する。(文責 上野・茂呂)
プログラム
午前1 9:00から10:30
セッション1 教師の学びと子どもの学び G501室
企画発表 宮崎清孝(早稲田大学)
発表 有元典文(横浜国立大学)
高屋景一(國學院大學)
セッション2 ・医療現場における新しい学習・発達・ネットワーク G502室
企画発表 山口悦子(大阪市立大学医学部附属病院)
発表 原田悦子(法政大学)
コメント 南部美砂子(はこだて未来大学)
午前2 10:45から12:15
セッション3 新しいつながりとしてのサブカルチャー G502室
企画発表 岡部大介(東京都市大学)
石田喜美(財団法人東京都歴史文化財団
東京文化発信プロジェクト室)
土橋臣吾(法政大学)
コメント:柳町智治(北海道大学)
セッション4 インターローカリティー:地域社会をつなぐ G501室
発表 矢守克也(京都大学)
中村雅子(東京都市大)
杉浦裕樹(横浜コミュニティ・デザインラボ)
コメント:加藤文俊(慶應義塾大学環境情報学部)
ラウンドテーブル 韓国社会と日本社会のリゾーム化:今後の共同研究
へむけて G503室
参加者:朴東燮 朴智淵 李秉俊 金慧娜 金大現 金惠淑 韓大東
(釜山大学校)ジェームズ・ワーチ(ワシントン大)茂呂雄二
(筑波大)當眞千賀子(九州大学)タイラー・ワーチ(早稲田
大学)野村侑加(筑波大)徳舛克幸(筑波大)岩木穣(筑波
大)太田礼穂(筑波大)キム・ウンミ(筑波大)
昼食休憩
午後1 13:15から14:45
講演G 501室
James V. Wertsch (Marshall S. Snow Professor in Arts and Sciences. Director, McDonnell International Scholars Academy. Washington University in St. Louis)
Mediation as a Core Construct in Sociocultural Analysis
通訳:ソーヤーりえこ(東京都市大学 環境情報学部)
午後2 15:00から17:30
シンポジウム 流動的なメディア社会のバウンダリ―クロッシング G501室
企画話題提供 上野直樹(東京都市大学)
司会 伊藤 崇(北海道大学)
話題提供 香川秀太(筑波大)
茂呂雄二(筑波大)
杉万俊夫(京都大学)
コメント 森岡正芳(神戸大学)
永田素彦(京都大学)
2009年12月11日金曜日
ソーシャルメディアの現在シンポジウムのご案内(速報)
2010年、3月13日(土)東京都市大学環境情報学部で、ソーシャルメディアをめぐるシンポジウムを行います。
notaの洛 西一周さん、「情報デザイン入門」の渡辺保史さん、「アーキテクチャーの生態系」の濱野智史さん、 横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さん、Finlandで地域とICTの研究をやられている Kuuttiさん他を講師としてお招きして、ソーシャルメディアの現在と未来を明らかにして行きたいと思います。
また、京都大学総合人間学部 杉万俊夫さん、筑波大学人間総合学部 茂呂雄二さんらをお招きして、ソーシャルメディアに限定されない、多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大と学習についてのセッションも予定されています。
ライトニングトークのセッションでは、学生、院生、OBなどに彼らのソーシャルメディア生活や開発を語ってもらうことを通して、現代を表現してみたいとも思っています。
主催は、以下にあるように東京都市大学現代GPプロジェクト、また、 横浜コミュニティデザイン・ラボ共催です。
以下、シンポジウムのタイトル、趣意書です。
関心ある方は、ぜひご参加下さい、参加費は無料です。
シンポジウム・タイトル:多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開
○シンポジウムの主催者
このシンポジウムは、文部科学省から助成を受けている東京都市大学環境情報学部「現代GPプロジェクト」の主催によって行われます。このプロジェクトの テーマは、「ICTによるニュータウンの街作り拠点構築_web2.0技術の活用による地域情報の集約と地域活動の促進_」であり、web、モバイルシス テムを学生主体で開発しながら、地域の活動に関与することを目的としています。詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/
私たちは、現代GPプロジェクトや、それに先んじて行って来たwebやモバイルシステムの開発や地域における研究、活動を通して、あらためて、現代社会に おけるソーシャルメディアの浸透やそれに伴う人々のつながり方の多様化、複雑化に直面することになりました。こうしたことから、本シンポジウムでは、過去 2年半の現代GPプロジェクトの研究や実践の成果の報告に加えて、現代社会における「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディ アの展開」について明らかにし、今後の研究や実践課題がどのようなものであるか特定していきたいと思います。
○シンポジウム企画の背景と目的
現代は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に 至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。こうした野火的な活動は、制度的に構築された中心的組織がトップダウン的に 周辺的な社会組織を動かして行くような活動とは大きく異なり、分散的に、ローカルに形成される。そうしたローカルな活動やコミュニティは、植物の地下茎の よう複雑に、かつ、多様に絡み合っているリゾームのようなつながり方をしている。野火的な活動の事例としては、赤十字、バードウオッチング、スケートボー ディング、グラフィティ、地域の様々な人々による街づくりといったものをあげることができる。
現代においては、webやモバイルは、野火的な活 動や人々のリゾーム的なつながりを拡大したり、可能にする条件を作り出しているということも可能である。こうしたソーシャルメディアとしてのweb、モバ イルは、人々同士、または人々と知識、情報とをつなぐ「社会的アーキテクチャ」と見なすことができる。あるいは、人々が協働的に行う活動のための社会的な 空間を組織する「社会的アーキテクチャ」である。しかし、現状を見ると、webやモバイルのアーキテクチャは、それ自体で社会的空間を作り出しているとい うよりは、都市空間、都市における拠点、個室、キャンパスといった場所的アーキテクチャと一体化して、はじめて活動や生活のための社会的な空間を形成して いる。
つまり、社会的空間とは、活動や生活のためのハイブリッドな場である。あるいは、このハイブリッドな場は、日常的でローカルな人々のつながりを維持したり、つくり出す場であるということも可能である。
このハイブリッドな社会的空間については、いくつかの事例をあげることが可能である。例えば、一つは、地域の街づくりの拠点としてのハイブリッドな場であ り、こういう場においては、様々な人々の活動への参加の枠組みがつくり出されている。もう一つは、文化的生産、消費の場所としてのハイブリッドソーシャル スペースである。こうしたものの例としては、ユルオタ、ネトゲ廃人、ギャルといった現代におけるサブカルチャー的な活動やそれを支える場を挙げることがで きるだろう。最後は、学習環境、技術開発環境としてのハイブリッドな場である。こうしたことの例としては、現代のwebシステムの技術者であるギークたち のハイブリッドなソーシャルスペースをあげることができる。ギークの事例は、ある意味で極限的なケースだが、むしろ、こうした中にweb時代の新しいライ フ/プレイ/ワークスタイルが見えるだろう。
本シンポジウムの目的は、 web、モバイルのアーキテクチャの現状分析や以上に挙げたような典型的な具体的事例をもとに、活動や生活のためのハイブリッドな社会的空間の現状と課題、あるいは未来の姿を明らかにすることである。
○シンポジウムの内容と構成
本シンポジウムは、5つのパートから構成されている。
午前第1部9:00-10:30, 第2部10:45-12:15,ポスター12:45-14:00, 第3部14:15-15:45, 第4部16:00-17:30, 18:00 懇親会
第1部、アメリカにおけるソーシャルメディアの現状について、アメリカでソーシャルメディアの開発や研究に関わっている技術者、研究者の方々に報告して頂く.
第2部では、ICTを媒介とした地域における活動やコミュニティのつながりの形成のあり方について、いくつかの地域の事例について報告して頂く。
第3部では、サブカルチャーにおける文化的生産と消費の場としてしてのハイブリッドな社会的空間の形成について報告、議論する.
第4部では、学習環境のデザインとしてのハイブリッドな社会的空間について報告、議論する。テーマをweb、モバイルに限定しない。
以上とパラレルに現代GPの活動報告をポスターセッションで行う。(12:45-14:00)この一部の時間を用いてライトニングトークを行う(GP事務局、学生、院生)
notaの洛 西一周さん、「情報デザイン入門」の渡辺保史さん、「アーキテクチャーの生態系」の濱野智史さん、 横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さん、Finlandで地域とICTの研究をやられている Kuuttiさん他を講師としてお招きして、ソーシャルメディアの現在と未来を明らかにして行きたいと思います。
また、京都大学総合人間学部 杉万俊夫さん、筑波大学人間総合学部 茂呂雄二さんらをお招きして、ソーシャルメディアに限定されない、多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大と学習についてのセッションも予定されています。
ライトニングトークのセッションでは、学生、院生、OBなどに彼らのソーシャルメディア生活や開発を語ってもらうことを通して、現代を表現してみたいとも思っています。
主催は、以下にあるように東京都市大学現代GPプロジェクト、また、 横浜コミュニティデザイン・ラボ共催です。
以下、シンポジウムのタイトル、趣意書です。
関心ある方は、ぜひご参加下さい、参加費は無料です。
シンポジウム・タイトル:多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開
○シンポジウムの主催者
このシンポジウムは、文部科学省から助成を受けている東京都市大学環境情報学部「現代GPプロジェクト」の主催によって行われます。このプロジェクトの テーマは、「ICTによるニュータウンの街作り拠点構築_web2.0技術の活用による地域情報の集約と地域活動の促進_」であり、web、モバイルシス テムを学生主体で開発しながら、地域の活動に関与することを目的としています。詳細は、以下のサイトをご覧下さい。
http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/
私たちは、現代GPプロジェクトや、それに先んじて行って来たwebやモバイルシステムの開発や地域における研究、活動を通して、あらためて、現代社会に おけるソーシャルメディアの浸透やそれに伴う人々のつながり方の多様化、複雑化に直面することになりました。こうしたことから、本シンポジウムでは、過去 2年半の現代GPプロジェクトの研究や実践の成果の報告に加えて、現代社会における「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディ アの展開」について明らかにし、今後の研究や実践課題がどのようなものであるか特定していきたいと思います。
○シンポジウム企画の背景と目的
現代は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に 至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。こうした野火的な活動は、制度的に構築された中心的組織がトップダウン的に 周辺的な社会組織を動かして行くような活動とは大きく異なり、分散的に、ローカルに形成される。そうしたローカルな活動やコミュニティは、植物の地下茎の よう複雑に、かつ、多様に絡み合っているリゾームのようなつながり方をしている。野火的な活動の事例としては、赤十字、バードウオッチング、スケートボー ディング、グラフィティ、地域の様々な人々による街づくりといったものをあげることができる。
現代においては、webやモバイルは、野火的な活 動や人々のリゾーム的なつながりを拡大したり、可能にする条件を作り出しているということも可能である。こうしたソーシャルメディアとしてのweb、モバ イルは、人々同士、または人々と知識、情報とをつなぐ「社会的アーキテクチャ」と見なすことができる。あるいは、人々が協働的に行う活動のための社会的な 空間を組織する「社会的アーキテクチャ」である。しかし、現状を見ると、webやモバイルのアーキテクチャは、それ自体で社会的空間を作り出しているとい うよりは、都市空間、都市における拠点、個室、キャンパスといった場所的アーキテクチャと一体化して、はじめて活動や生活のための社会的な空間を形成して いる。
つまり、社会的空間とは、活動や生活のためのハイブリッドな場である。あるいは、このハイブリッドな場は、日常的でローカルな人々のつながりを維持したり、つくり出す場であるということも可能である。
このハイブリッドな社会的空間については、いくつかの事例をあげることが可能である。例えば、一つは、地域の街づくりの拠点としてのハイブリッドな場であ り、こういう場においては、様々な人々の活動への参加の枠組みがつくり出されている。もう一つは、文化的生産、消費の場所としてのハイブリッドソーシャル スペースである。こうしたものの例としては、ユルオタ、ネトゲ廃人、ギャルといった現代におけるサブカルチャー的な活動やそれを支える場を挙げることがで きるだろう。最後は、学習環境、技術開発環境としてのハイブリッドな場である。こうしたことの例としては、現代のwebシステムの技術者であるギークたち のハイブリッドなソーシャルスペースをあげることができる。ギークの事例は、ある意味で極限的なケースだが、むしろ、こうした中にweb時代の新しいライ フ/プレイ/ワークスタイルが見えるだろう。
本シンポジウムの目的は、 web、モバイルのアーキテクチャの現状分析や以上に挙げたような典型的な具体的事例をもとに、活動や生活のためのハイブリッドな社会的空間の現状と課題、あるいは未来の姿を明らかにすることである。
○シンポジウムの内容と構成
本シンポジウムは、5つのパートから構成されている。
午前第1部9:00-10:30, 第2部10:45-12:15,ポスター12:45-14:00, 第3部14:15-15:45, 第4部16:00-17:30, 18:00 懇親会
第1部、アメリカにおけるソーシャルメディアの現状について、アメリカでソーシャルメディアの開発や研究に関わっている技術者、研究者の方々に報告して頂く.
第2部では、ICTを媒介とした地域における活動やコミュニティのつながりの形成のあり方について、いくつかの地域の事例について報告して頂く。
第3部では、サブカルチャーにおける文化的生産と消費の場としてしてのハイブリッドな社会的空間の形成について報告、議論する.
第4部では、学習環境のデザインとしてのハイブリッドな社会的空間について報告、議論する。テーマをweb、モバイルに限定しない。
以上とパラレルに現代GPの活動報告をポスターセッションで行う。(12:45-14:00)この一部の時間を用いてライトニングトークを行う(GP事務局、学生、院生)
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