ラベル シンポジウム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル シンポジウム の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2010年2月16日火曜日

twitterとその文化的透明性

昨日の濱野さんをまねいてのシンポ「ソーシャルメディアの現在」(3月13日)の打ち合わせ会での議論では、将来のwebシステム、人々や活動の繋がりのデザインについて多くのヒントが示された。

ここでは、twitterで流したメモを元に、そのごく一部の議論だけ速報する。全体の議論については、今後できるだけはやく整理してこのブログにアップする予定。

濱野さんを囲む会で議論されたことの一つは、twitterの”わかりやすさ”の問題だった。一方で、twitterそれ自体は非常にシンプルなシステムだが、twitterがどういう文脈で、どういう形で使われているかということは案外わかりにくい。ソーヤー氏は、これをレイヴ&ウェンガーの言うところの「人工物の文化的透明性」の問題であると指摘した。

twitterの道具としての「文化的透明性」を考えるとき、見ておかなければならないことは、twitterはそれ自体としてではなく、様々なwebやメディアとの連関のもとで、また、ネットやリアルにおける様々なローカルなコミュニティとの連関のもとで用いられているということである。そして、twitterは、その様々な連関の中で、様々な使われ方をしている。

こういう様々なものの連関、布置のもとでのtwitterということが少しでも見えないと、twitterは、意味不明な、文化的に不透明な道具になる。

逆に、実際にtwitterがどういう生活の中で、どう使われているかが垣間見えれば、道具としてのtwitterの文化的意味が理解可能になる。濱野氏は、こういう点を指摘された。

一例をあげてみよう。wordは、操作としては複雑でわかりにくい。しかし、文化的には透明なツールである。逆に、twitterは、操作としてはもっともシンプルだが、twitterが用いられる文脈、生活は、見えにくい。

以上のような道具の人工物の文化的透明性の問題は、結局、twitterだけではなく、全てのソーシャルメディアに関して言えることだ。そうであるとするなら、ソーシャルメディアの使用は、個々人のメディアリテラシーとしてではなく、ソーシャルメディアの様々な連関へのアクセスの問題として議論されるべきである。

まさに、「道具のわかりやすさ」は、操作や見かけのわかりやすさの問題ではないし、また、道具を使う個人の能力の問題ではない。むしろ、道具を用いる実践へのアクセスの問題であるということを改めてソーシャルメディアに関連させてきちんと考えてみる必要があると思う。

道具としてのwordとtwitterの文化的透明性を比較するなら、メディアリテラシーということを根本的に考え直す必要があることが明らかになる。

「情報デザイン」ということに関して言えば、これは情報をわかりやすく、綺麗に表現する技術なのではなく、人工物をめぐる様々なアクセスのデザインであると再定義できる

レイヴ&ウェンガーの「状況的学習論」の人工物の文化的透明性の議論は、現代のソーシャルメディアにも使えると同時に、ソーシャルメディアについての文化的透明性を見ていくことで、状況的学習論の新たな展開も可能になると思う。

残りの議論は続報で。

2009年12月13日日曜日

ISCAR Asia2010(第2回大会)・DEE特別大会(共催)のご案内

来年早々、1月4日に行われるISCAR, Asia第2回大会の案内です。今回の大会テーマは「リゾーム的社会における新しい生と学習のネットワークの可視化とデザイン」です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ISCAR, Asia第2回大会は、このたびDEE(認知科学会「教育環境のデザイン研究分科会」)との共催となりました。参加費についてはISCAR会員、DEE会員は無料です。下記の要領でISCAR Asia2010(第2回大会)・DEE特別大会(共催)を開催しますので、ふるってご参加ください。このお知らせは転送、転載、自由です。

ISCAR Asia代表:茂呂雄二(筑波大学)・事務局:朴東燮(釜山大学校)
DEE主査 有元典文(横浜国立大学)・事務局 岡部大介(東京都市大学)

*ISCARは、International Society for Cultural and Activity Researchの略称です。ISCAR本体の大会は、2011年9月にローマで予定されています。
http://www.iscar.org/
*DEEは日本認知科学会SIG 教育環境のデザイン分科会です。こちらの方にもぜひ参加をお願いします。
http://sigdee.net/

大会テーマ:リゾーム的社会における新しい生と学習のネットワークの可視化とデザイン

日時:2010年1月4日
場所:筑波大学学校教育局(〒112-0012 東京都文京区大塚3-29-1、地下鉄丸ノ内線 茗荷谷駅徒歩3分)
http://www.tsukuba.ac.jp/access/otsuka_access.html
参加費:ISCAR、DEE会員は無料です。そのほかの方からは当日500円を申し受けます。
申込:茂呂までメイルでお願いします。会場狭小のため150人で打ち切りとさせていただきます。
  
問い合せ:茂呂
ymoro@human.tsukuba.ac.jp

大会の趣意
  80年代以降、活動論や状況論が世界的に拡がり始めてから、すでに、20年以上が経過している。活動論、状況論研究は、認知や学習といったことを、個人的な知識・技能の獲得や発達、個人内で完結したアイデンティティの形成ということを超えて、メディア、社会組織、コミュニティといったことを含めて統一的に捉える観点を提供したしかし、80年代以降、私たちを取り巻く時代状況は大きく変化している。一つの大きな時代的変化は、web、モバイルを中心にした新しいソーシャルメディアの開発や使用のひろがりであり、もう一つは、これに関連しているが、活動、実践の多様化および流動化である。
こうした現代の状況は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。そうしたつながりは、植物の地下茎のよう複雑に、かつ、多様に絡み合ったリゾームのような形状を取っている。こうした野火的な活動の中で、人々は、特定のコミュニティの中でだけで生き、活動を行うだけはなく、様々な場所、コミュニティの間を移動しながら、新たな活動を生み出している。こうした時代状況によって、改めて、活動理論における「移動論」や、状況的学習論やテクノサイエンス研究に由来する境界横断論、多様なコミュニティを移動する軌跡の研究などの議論、研究が着目される。
 思い起こすなら、ヴィゴツキー、バフチン、ベンヤミンが1920年代に遭遇したのは、映画、演劇、小説等の新しいメディア(あるいは従来メディアの転形)の出現が、人々の生活の形式を劇的に変えるという危機的な事態だった。こうした状況にこたえるものが、彼らの仕事であったと考えることもできる。私たちも、いま、そのような、いやそれ以上の変化を、新しいメディア使用に遭遇しつつ経験している。こうした現代社会における野火的な活動やコミュニティの拡がりは、私たちに多くの可能性を示すと同時に多くの社会的問題をもたらし、活動論、社会組織論、学習論、メディア論に解明、解決すべき研究的、実践的課題をつきつけている。例えば、リゾーム社会の源泉である新しいメディアを自分の道具にしながら、かつてなかったような新しい他者の出会い方とつながり方が必要となる。その出会いとつながりは、様々なローカルな場所で、共同的な新しい学習を生み出しつつある。
 今回のISCARは、この新しい生と学習のスタイルをいかに分節化し可視化すればよいのか、を提案しあう。そして、さらに踏み込んで、人々の行なう日常的なデザイン実践に加担して、このリゾーム化の事態をいかに先鋭化できるのかを議論する。(文責 上野・茂呂)

プログラム
午前1 9:00から10:30
セッション1 教師の学びと子どもの学び G501室
      企画発表 宮崎清孝(早稲田大学)
      発表   有元典文(横浜国立大学)
           高屋景一(國學院大學)
セッション2 ・医療現場における新しい学習・発達・ネットワーク G502室
      企画発表 山口悦子(大阪市立大学医学部附属病院)
      発表   原田悦子(法政大学)
      コメント 南部美砂子(はこだて未来大学)
午前2 10:45から12:15           
セッション3 新しいつながりとしてのサブカルチャー G502室
      企画発表 岡部大介(東京都市大学)
           石田喜美(財団法人東京都歴史文化財団 
                東京文化発信プロジェクト室)
           土橋臣吾(法政大学)
      コメント:柳町智治(北海道大学)
セッション4 インターローカリティー:地域社会をつなぐ G501室
        発表 矢守克也(京都大学)
           中村雅子(東京都市大)
           杉浦裕樹(横浜コミュニティ・デザインラボ)
      コメント:加藤文俊(慶應義塾大学環境情報学部)
ラウンドテーブル 韓国社会と日本社会のリゾーム化:今後の共同研究
         へむけて G503室
 参加者:朴東燮 朴智淵 李秉俊 金慧娜 金大現 金惠淑 韓大東
    (釜山大学校)ジェームズ・ワーチ(ワシントン大)茂呂雄二
    (筑波大)當眞千賀子(九州大学)タイラー・ワーチ(早稲田
     大学)野村侑加(筑波大)徳舛克幸(筑波大)岩木穣(筑波
     大)太田礼穂(筑波大)キム・ウンミ(筑波大)

昼食休憩

午後1  13:15から14:45
 講演G 501室
 James V. Wertsch (Marshall S. Snow Professor in Arts and Sciences. Director, McDonnell International Scholars Academy. Washington University in St. Louis)
     Mediation as a Core Construct in Sociocultural Analysis
  通訳:ソーヤーりえこ(東京都市大学 環境情報学部)

午後2 15:00から17:30
シンポジウム 流動的なメディア社会のバウンダリ―クロッシング  G501室
  企画話題提供 上野直樹(東京都市大学)
  司会     伊藤 崇(北海道大学)
  話題提供   香川秀太(筑波大)
         茂呂雄二(筑波大)
         杉万俊夫(京都大学)
  コメント   森岡正芳(神戸大学)
         永田素彦(京都大学)

      

2009年12月11日金曜日

ソーシャルメディアの現在シンポジウムのご案内(速報)

2010年、3月13日(土)東京都市大学環境情報学部で、ソーシャルメディアをめぐるシンポジウムを行います。
notaの洛 西一周さん、「情報デザイン入門」の渡辺保史さん、「アーキテクチャーの生態系」の濱野智史さん、 横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さん、Finlandで地域とICTの研究をやられている Kuuttiさん他を講師としてお招きして、ソーシャルメディアの現在と未来を明らかにして行きたいと思います。

また、京都大学総合人間学部 杉万俊夫さん、筑波大学人間総合学部 茂呂雄二さんらをお招きして、ソーシャルメディアに限定されない、多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大と学習についてのセッションも予定されています。

ライトニングトークのセッションでは、学生、院生、OBなどに彼らのソーシャルメディア生活や開発を語ってもらうことを通して、現代を表現してみたいとも思っています。

主催は、以下にあるように東京都市大学現代GPプロジェクト、また、 横浜コミュニティデザイン・ラボ共催です。

以下、シンポジウムのタイトル、趣意書です。
関心ある方は、ぜひご参加下さい、参加費は無料です。


シンポジウム・タイトル:多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開

○シンポジウムの主催者

  このシンポジウムは、文部科学省から助成を受けている東京都市大学環境情報学部「現代GPプロジェクト」の主催によって行われます。このプロジェクトの テーマは、「ICTによるニュータウンの街作り拠点構築_web2.0技術の活用による地域情報の集約と地域活動の促進_」であり、web、モバイルシス テムを学生主体で開発しながら、地域の活動に関与することを目的としています。詳細は、以下のサイトをご覧下さい。

http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/

  私たちは、現代GPプロジェクトや、それに先んじて行って来たwebやモバイルシステムの開発や地域における研究、活動を通して、あらためて、現代社会に おけるソーシャルメディアの浸透やそれに伴う人々のつながり方の多様化、複雑化に直面することになりました。こうしたことから、本シンポジウムでは、過去 2年半の現代GPプロジェクトの研究や実践の成果の報告に加えて、現代社会における「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディ アの展開」について明らかにし、今後の研究や実践課題がどのようなものであるか特定していきたいと思います。

○シンポジウム企画の背景と目的

  現代は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に 至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。こうした野火的な活動は、制度的に構築された中心的組織がトップダウン的に 周辺的な社会組織を動かして行くような活動とは大きく異なり、分散的に、ローカルに形成される。そうしたローカルな活動やコミュニティは、植物の地下茎の よう複雑に、かつ、多様に絡み合っているリゾームのようなつながり方をしている。野火的な活動の事例としては、赤十字、バードウオッチング、スケートボー ディング、グラフィティ、地域の様々な人々による街づくりといったものをあげることができる。
 現代においては、webやモバイルは、野火的な活 動や人々のリゾーム的なつながりを拡大したり、可能にする条件を作り出しているということも可能である。こうしたソーシャルメディアとしてのweb、モバ イルは、人々同士、または人々と知識、情報とをつなぐ「社会的アーキテクチャ」と見なすことができる。あるいは、人々が協働的に行う活動のための社会的な 空間を組織する「社会的アーキテクチャ」である。しかし、現状を見ると、webやモバイルのアーキテクチャは、それ自体で社会的空間を作り出しているとい うよりは、都市空間、都市における拠点、個室、キャンパスといった場所的アーキテクチャと一体化して、はじめて活動や生活のための社会的な空間を形成して いる。
 つまり、社会的空間とは、活動や生活のためのハイブリッドな場である。あるいは、このハイブリッドな場は、日常的でローカルな人々のつながりを維持したり、つくり出す場であるということも可能である。
  このハイブリッドな社会的空間については、いくつかの事例をあげることが可能である。例えば、一つは、地域の街づくりの拠点としてのハイブリッドな場であ り、こういう場においては、様々な人々の活動への参加の枠組みがつくり出されている。もう一つは、文化的生産、消費の場所としてのハイブリッドソーシャル スペースである。こうしたものの例としては、ユルオタ、ネトゲ廃人、ギャルといった現代におけるサブカルチャー的な活動やそれを支える場を挙げることがで きるだろう。最後は、学習環境、技術開発環境としてのハイブリッドな場である。こうしたことの例としては、現代のwebシステムの技術者であるギークたち のハイブリッドなソーシャルスペースをあげることができる。ギークの事例は、ある意味で極限的なケースだが、むしろ、こうした中にweb時代の新しいライ フ/プレイ/ワークスタイルが見えるだろう。

 本シンポジウムの目的は、 web、モバイルのアーキテクチャの現状分析や以上に挙げたような典型的な具体的事例をもとに、活動や生活のためのハイブリッドな社会的空間の現状と課題、あるいは未来の姿を明らかにすることである。

○シンポジウムの内容と構成

本シンポジウムは、5つのパートから構成されている。

午前第1部9:00-10:30, 第2部10:45-12:15,ポスター12:45-14:00, 第3部14:15-15:45, 第4部16:00-17:30, 18:00 懇親会

第1部、アメリカにおけるソーシャルメディアの現状について、アメリカでソーシャルメディアの開発や研究に関わっている技術者、研究者の方々に報告して頂く.

第2部では、ICTを媒介とした地域における活動やコミュニティのつながりの形成のあり方について、いくつかの地域の事例について報告して頂く。

第3部では、サブカルチャーにおける文化的生産と消費の場としてしてのハイブリッドな社会的空間の形成について報告、議論する.

第4部では、学習環境のデザインとしてのハイブリッドな社会的空間について報告、議論する。テーマをweb、モバイルに限定しない。

以上とパラレルに現代GPの活動報告をポスターセッションで行う。(12:45-14:00)この一部の時間を用いてライトニングトークを行う(GP事務局、学生、院生)