2009年12月11日金曜日

ソーシャルメディアの現在シンポジウムのご案内(速報)

2010年、3月13日(土)東京都市大学環境情報学部で、ソーシャルメディアをめぐるシンポジウムを行います。
notaの洛 西一周さん、「情報デザイン入門」の渡辺保史さん、「アーキテクチャーの生態系」の濱野智史さん、 横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さん、Finlandで地域とICTの研究をやられている Kuuttiさん他を講師としてお招きして、ソーシャルメディアの現在と未来を明らかにして行きたいと思います。

また、京都大学総合人間学部 杉万俊夫さん、筑波大学人間総合学部 茂呂雄二さんらをお招きして、ソーシャルメディアに限定されない、多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大と学習についてのセッションも予定されています。

ライトニングトークのセッションでは、学生、院生、OBなどに彼らのソーシャルメディア生活や開発を語ってもらうことを通して、現代を表現してみたいとも思っています。

主催は、以下にあるように東京都市大学現代GPプロジェクト、また、 横浜コミュニティデザイン・ラボ共催です。

以下、シンポジウムのタイトル、趣意書です。
関心ある方は、ぜひご参加下さい、参加費は無料です。


シンポジウム・タイトル:多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディアの展開

○シンポジウムの主催者

  このシンポジウムは、文部科学省から助成を受けている東京都市大学環境情報学部「現代GPプロジェクト」の主催によって行われます。このプロジェクトの テーマは、「ICTによるニュータウンの街作り拠点構築_web2.0技術の活用による地域情報の集約と地域活動の促進_」であり、web、モバイルシス テムを学生主体で開発しながら、地域の活動に関与することを目的としています。詳細は、以下のサイトをご覧下さい。

http://gp-public.sv.yc.tcu.ac.jp/

  私たちは、現代GPプロジェクトや、それに先んじて行って来たwebやモバイルシステムの開発や地域における研究、活動を通して、あらためて、現代社会に おけるソーシャルメディアの浸透やそれに伴う人々のつながり方の多様化、複雑化に直面することになりました。こうしたことから、本シンポジウムでは、過去 2年半の現代GPプロジェクトの研究や実践の成果の報告に加えて、現代社会における「多様で複雑な活動や人々の社会的つながり方の拡大とソーシャルメディ アの展開」について明らかにし、今後の研究や実践課題がどのようなものであるか特定していきたいと思います。

○シンポジウム企画の背景と目的

  現代は、Engestromの言葉を借りるなら、野火的な活動(wildfire activities)が拡大している時代ということが可能である。野火的な活動とは、分散的で、ローカルな活動やコミュニティが、野火のように、同時に 至る所に形成され、ひろがり、相互につながって行くといった現象をさしている。こうした野火的な活動は、制度的に構築された中心的組織がトップダウン的に 周辺的な社会組織を動かして行くような活動とは大きく異なり、分散的に、ローカルに形成される。そうしたローカルな活動やコミュニティは、植物の地下茎の よう複雑に、かつ、多様に絡み合っているリゾームのようなつながり方をしている。野火的な活動の事例としては、赤十字、バードウオッチング、スケートボー ディング、グラフィティ、地域の様々な人々による街づくりといったものをあげることができる。
 現代においては、webやモバイルは、野火的な活 動や人々のリゾーム的なつながりを拡大したり、可能にする条件を作り出しているということも可能である。こうしたソーシャルメディアとしてのweb、モバ イルは、人々同士、または人々と知識、情報とをつなぐ「社会的アーキテクチャ」と見なすことができる。あるいは、人々が協働的に行う活動のための社会的な 空間を組織する「社会的アーキテクチャ」である。しかし、現状を見ると、webやモバイルのアーキテクチャは、それ自体で社会的空間を作り出しているとい うよりは、都市空間、都市における拠点、個室、キャンパスといった場所的アーキテクチャと一体化して、はじめて活動や生活のための社会的な空間を形成して いる。
 つまり、社会的空間とは、活動や生活のためのハイブリッドな場である。あるいは、このハイブリッドな場は、日常的でローカルな人々のつながりを維持したり、つくり出す場であるということも可能である。
  このハイブリッドな社会的空間については、いくつかの事例をあげることが可能である。例えば、一つは、地域の街づくりの拠点としてのハイブリッドな場であ り、こういう場においては、様々な人々の活動への参加の枠組みがつくり出されている。もう一つは、文化的生産、消費の場所としてのハイブリッドソーシャル スペースである。こうしたものの例としては、ユルオタ、ネトゲ廃人、ギャルといった現代におけるサブカルチャー的な活動やそれを支える場を挙げることがで きるだろう。最後は、学習環境、技術開発環境としてのハイブリッドな場である。こうしたことの例としては、現代のwebシステムの技術者であるギークたち のハイブリッドなソーシャルスペースをあげることができる。ギークの事例は、ある意味で極限的なケースだが、むしろ、こうした中にweb時代の新しいライ フ/プレイ/ワークスタイルが見えるだろう。

 本シンポジウムの目的は、 web、モバイルのアーキテクチャの現状分析や以上に挙げたような典型的な具体的事例をもとに、活動や生活のためのハイブリッドな社会的空間の現状と課題、あるいは未来の姿を明らかにすることである。

○シンポジウムの内容と構成

本シンポジウムは、5つのパートから構成されている。

午前第1部9:00-10:30, 第2部10:45-12:15,ポスター12:45-14:00, 第3部14:15-15:45, 第4部16:00-17:30, 18:00 懇親会

第1部、アメリカにおけるソーシャルメディアの現状について、アメリカでソーシャルメディアの開発や研究に関わっている技術者、研究者の方々に報告して頂く.

第2部では、ICTを媒介とした地域における活動やコミュニティのつながりの形成のあり方について、いくつかの地域の事例について報告して頂く。

第3部では、サブカルチャーにおける文化的生産と消費の場としてしてのハイブリッドな社会的空間の形成について報告、議論する.

第4部では、学習環境のデザインとしてのハイブリッドな社会的空間について報告、議論する。テーマをweb、モバイルに限定しない。

以上とパラレルに現代GPの活動報告をポスターセッションで行う。(12:45-14:00)この一部の時間を用いてライトニングトークを行う(GP事務局、学生、院生)